『Red Hot + Riot』

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2002 アメリカ
ナイス企画にナイス人選 #
未来のファンクを先取り感 #
呪術的アフロビートの中毒性 #
オリジナルへの解釈のすがすがしい攻めっぷり #
総合点 #

~敬意をこめてアフロビートをぶっ壊したら、未来のファンクが生まれた~

このアルバムは、タイトルからもわかるとおり、エイズ撲滅のためのチャリティーのために作られた「Red Hot」シリーズの一環です。
「Red Hot」シリーズはこれまでにも、ブラジル音楽やジャズなど毎回異なったテーマで豪華なメンツのオムニバスを制作してきたのですが、この『Red Hot + Riot』では、アフロビートの帝王こと、フェラ・クティを取り上げています。
彼自身エイズで亡くなったわけで、「Red Hot」シリーズにはうってつけの人選といえるでしょう。


1970年代から1980年代にかけて誕生した、アフリカ人によるアフリカ人のためのビート、それがいわゆる「アフロビート」ですが、フェラ・クティは、そのアフロビートを創り出した人物。ナイジェリア出身のミュージシャンにして活動家なのです。
アフリカの腐敗した政治や白人の支配を激しく告発した彼は、ナイジェリア政府ににらまれ、何度も逮捕され投獄もされたのですが、くじけることなく精力的に音楽活動を行いました。

彼の音楽は、ジェームス・ブラウン的なファンクを基盤としながらも、ものすごく独特で特徴的。ひたすら短調な細かいカッティングを刻むギター、リード楽器は野太いサックスかトランペットだし、マラカスみたいなアフリカ楽器とカウベルみたいな打楽器がずーっと鳴らされてるし、ビートは思わず腰が浮いてくるようなハネたノリを作っています。
ひとことで言えば、グルーヴが真っ黒なとぐろを巻いてるような感じ。アメリカ黒人のファンクが多少なりとも音楽的に洗練されているのに対し、フェラ・クティのアフロビートはひたすら呪術的にできています。


このアルバムに参加しているのは、ディアンジェロや、ザ・ルーツ、シャーデー、コモン、メイシー・グレイ、ブラッカリシャスといった実力派の黒人ミュージシャンたち。そして、フェラ・クティの息子で、父の後を継いでアフロビート界を背負っているフェミ・クティ。
彼らは当然みんなフェラ・クティのことは音楽的にも精神的にも相当リスペクトしているはずですが、しかし、だからといって帝王に遠慮して無難なトリビュートにまとめたりはしていません。

コードの変化のない原曲を洗練されたジャズのコードに落とし込んでみたり、アフロビートにラップを乗せてみたり、打ち込みのビートでアフロビートをエレクトロに解釈してみたり、それぞれに大胆かつ自由なアプローチでフェラ・クティに取り組んでいるのです。

そして、これらの取り組み、どれもこれも大成功していると思います。
センスと実力には定評のある現代のミュージシャンたちの手によって、原曲が持っている熱量や「とぐろを巻いてる感」は維持したままで、未来的でエッジなファンクが生み出されたのです。


このアルバムで鳴っている音は、R&Bやファンクが好きな人よりも、むしろ21世紀式の壊れたロックを愛好するリスナーにこそおススメしたいですね。黒人音楽のエッジは、実はけっこうロックだったっていう。

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